レベルアップノート
「指導するにあたって」
1.ストリートサッカー
ストリートサッカー、ご存じでしょうか、街角でやるアソシエーション(association協会)フットボール、なんか変ですね、本来はストリートフットボールと言うべきなのかもしれません。ま、和製英語と言ったところでしょうか。
文字通り、街角でやるサッカーです、テレビなどでブラジルの街角などの情景が映し出されると必ずと言っていいほど、路地裏でしかも裸足で、ぼろぼろのボールを使ってゲームに興じる子ども達が映っています。あれがストリートサッカーです。
何のことはない、サッカーが好きな子ども達が集まって、適当にミニゲームをやっている、そう、それだけのことです。でも、この遊びが大事なんだと考えています。
年配の方でしたら、ご記憶があるかも知れません。日本でも同じような情景がありました、種目は違いますけどね。そう、三角ベースです。筆者も、幅2mも無 いような路地で、テニスボールの修理したボール(私たちの間では、公式の軟式球に対して、「やりこボール(柔らかいボール、当時駄菓子屋で10円か20円 くらいだったと思います)と呼んでいましたが)」と、竹バット、グローブの代わりに帽子、といったいでたちで、この遊びに興じたものです。
あのときの子ども達はどうだったでしょうか、右の家に入れたらファールだけれど、大きな犬がいるので、一球でチェンジ、左は、人の良いおばさんなので、ワ ンアウト、ホームランは、正面の看板だけ、小さい子が入っていたら、ボールをさわった時点でアウトにする。ETC、自分たちで考えて、ルールを決めて、力 の差があると思えば、メンバーを入れ替えるかルールを変更して、またはじめから、子ども達の自由な発想で遊んでいませんでしたか。
サッカーでも同じことが出来るはずです。1人の時は、壁打ち、2人になれば、1対1、5人になれば2対3、2の方は上手な子や上級生、いくらでも方 法はあるはずです。確かに、公園でボールを蹴るな、校庭ではサッカー禁止、路地は車が危ないなど、昔に比べてやりにくくなっているのは確かです。でも、子 供たちの自由な発想があれば、限られた空間で、どんな遊びが出来るのか、彼らは容易に解答を導き出すでしょう。
サッカーで最も重要な、創造性、自由な発想、技術の上達、サッカーに必要な要素がごまんと詰まっている、それがストリートサッカーです。
子ども達が、ランドセルを放り投げて、自転車のかごにボールを入れて、友達とサッカーで遊ぶ、こんな情景が日常茶飯事になれば、組織だった練習なんか必要ありません。あとは、11対11や8対8の試合を提供すれば十分ではないかと考えています。
遊びこそ創造性の原点
サッカーは、創造性が重要な要素です。創造性とは何か、言葉で表現するのは非常に難しいですね。例えば、ゴール前でボールをもっている選手がいる、 この選手が次にどういうプレイをするのか、いろんな選択肢があるはずです。そのままシュート、あるいはドリブルしてキーパーを抜く、創造性の無い選手はそ の選択肢が少なく、創造性のある選手はその選択肢が多い、と言ったところでしょうか。相手ディフェンスの状況、味方の位置、周りの状況で選択肢の数は減っ たり増えたり、どうすれば創造性を伸ばすことが出来るのか、「創造しろ、考えろ」と言ったところで伸びるものではない、教えて教えられるものではない。 やっぱり、自分で考え、自分で判断し、行動する、その積み重ねかなと思います。そして、自分で考え、自分で判断し、行動するの には、ストリートサッカーのように、自分たちでルールを作り、自分たちでやる、そんな遊びが一番でしょう。遊びなら人と違うことをやってみようとか、テレ ビで見たあんなプレーをやってみようとかいろんなことが考えられるのではないでしょうか。コーチから与えられた練習だけで培われるものでは無いと思います。
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