私たちのような少年のサッカーチームの役割は、原石を見つけ出すことと考えています。この原石、非常にやっかいな原石です。それぞれで、形も色も、輝き方も違うのです。もう一つ、今の形と色と輝きが、年を追うごとに変化していくのです。今は小さくて輝かない原石も、将来大きくなってすごく輝くかも知れません。逆に、「あんなにきれいな色だったのに、今はただの石やな」てなこともあるかも知れません。 そんな原石を、削って、磨いて、形作って良いものでしょうか。私たちがやって良いのは、掘り出した原石の泥を落とすぐらい、布で磨くぐらい、でも決して削ってはいけないと考えています。 次に重要なのが、「燃え尽き症候群を作らない」と重複するかも知れませんが、子供の完成度です。「子供は小さな大人ではない。」、サッカーの指導教本にも載っている言葉です。筋力や、考え方、経験値、すべて大人とは大きく違います。当然、大人と同じサッカーは出来ません。各学年、あるいは個人の成長度によって、出来るサッカーは異なると言っていいでしょう。 そんな小学生の段階で、どの程度までプレーを熟成させるのか、これも、非常に難しい問題ですが、私たちが、考えているのは「伸びしろ」を残して、成長させると言うことです。 例えば、ここに、素質が100の選手が2人いるとします。A君は小学生で、プレーの完成度が高く、筋トレ以外は不要で、100の内80まで、完成してい るような選手だったとします。B君は同じように100の素質があるものの、いまだにリフティングが30ぐらいしかできない、100の内30ぐらいの完成度 だったとします。 彼らが、中学校を卒業する頃、A君は、90%、B君は60%、伸びしろはA君が10%、B君は30%、いまだにA君の方が完成度が高いのですが、A君は、どんどん追いついてくるB君を見てどう思うでしょうか、B君はどうでしょうか。 高校生になって、A君は100%、B君90%、同じような練習をしているのに、B君はどんどん伸びてA君に追いつこうとしてます。対してA君は余り伸び ない。このときの、モチベーションが重要になります。片方は、いくら練習しても伸びてこない、片方は、やればやるほど伸びてくる。結果、同じような素質を 持ちながら、A君は、やる気をなくし、燃え尽き症候群の様になってします、B君は、やればやるほどうまくなるような気がするわけですから、もっとやりたい という気持ちになる。 A君の様にならないように、私たちは、「伸びしろを残して成長させる」「完成させない」をモットーに指導しています(もっとも、小学生で完成するような選手はいるとは思えませんが。)。子供たちのサッカー人生は始まったばかり、のんびりゆっくりやりましょう。